このエントリーをはてなブックマークに追加

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このエントリーをはてなブックマークに追加

『疲れすぎて眠れぬ夜のために』 内田樹

【概要】

思想家の内田センセイが身体論の観点から「働くこと」などを語ったもの。

内田氏の人生観、ものの見方がじわじわと伝わってきます。


Hard Work / Mad Wraith




【ポイント】

◆1、引越し好きな内田センセイの生き様

所有しないのが好きなんです。

こういうことを言うと、悟り澄ました人間みたいですが、でも、物欲を満たそうと思っていると、もう切りがないでしょう。ひたすら不充足感が募ってゆくばかりで。これ、つらいです。
 
欲望の充足ラインを低めに設定しておけば、すぐに「ああ、なんという幸せ」という気分になれるでしょう。「小さくはあるが確固とした幸せ」(@村上春樹)を一つ一つ積み重ねてゆくこと、それが結局「幸せ」になるための最良の道だと思います。



◆2、我慢しない
精神的にも体力的にも、使える資源には限界というものがあります。目標を適度に設定し、資源を分配する先に優先順位をつけないと、人間は壊れます。人間て、わりと簡単に壊れます。

でも、「不愉快な人間関係に耐える」耐性というのは、ぼくに言わせれば、むしろ有害であり、命を縮める方向にしか作用しません。

対人関係で神経を逆撫でするような人間に対して、なぜそこから逃げ出さずに、妙に踏ん張ったりするのか。その理由を考えてみましょう。

繰り返し言うように、人間が使える心身の資源は「有限」です。限度を超えて使用すると、必ずシステム全体に影響が出て、一番弱いところから切れてきます。



◆3、仕事で疲れた人へ
この「へらへらと質の高い仕事をする」ためのノウハウを知っているか知らないかという違いが、同じような社会的プレッシャーを受けながら耐えられる人とつぶれる人の違いを生み出しているのではないかと僕は思います。

気づいていない人が多いのですが、ビジネスの愉しさは、お金が儲かることではなく、何か新しいことをすると、その結果がすぐに出る、その「反応の速さ」にあります。これは、「マーケットは間違えない」という前提の下、全員が一つのルールに対して同意し参加しているゲームです。

ほかの人間関係はこれほどには分かりやすくありません。

仕事の目的は結果として価値あるものをつくりだすことではないのです。それなら、どんな手段を使ってもよいということになります。仕事の目的がお金を儲けることなら、効率的でありさえすれば何でもいいはずです。でも、実際にはそうではありません。

人間が仕事に求めているのは、突き詰めて言えば「コミュニケーション」です。ただ、それだけです。




【感想】

◆外資系マチズモの対極にある、心身に耳を傾けるような自然体の空気がたまりません。

「働くことに疲れたら」と題した章が特に秀逸で、「仕事」について、これでもかというほどに「”たかが仕事”だろ?」とぶつけてくるような印象です。ビジネスの愉しさ、仕事の究極の目的。マジメすぎて自分の首を絞めてしまっている人にはよく響くのでは。





キンドル版





スポンサーサイト
このエントリーをはてなブックマークに追加

『上司は思いつきでものを言う』橋本治

【概要】
作家である著者が、出版社への「零細出入り業者」としての立場で各社の若手編集員から聞き集めた組織・上司の生態を語ったもの。

会社勤め経験がないことを感じさせないほど、真に迫る内容です。

アマゾンより
この本はサラリーマン社会の閉塞を嘆じるものではありません。「上司は思いつきでものを言う」ということが、なぜ起こってきたのかを、儒教の伝来まで遡り、とてもスリリングに解剖していく本です。日本の男たちが、なぜ戦国時代と幕末維新の時代ものが好きなのか。こんな「なぜ」も見えてきます。そして、では日本はどうするのか―「現場」の声を聞く能力の復活に向けて、上司のみなさんにも、上司でないみなさんにも、懇切丁寧な今後の道中案内の書であります。




office / Zanpei



【ポイント】

◆1、上司という生き物

上司は、現場から離れた「上司のピラミッド」の中にいるのです。だったら、こう考えてもいいはずです―。つまり、現場から離れて「上司のピラミッド」の一員になっている上司は、現場の声を「ない」と考えていい、現場を持たない官僚と同じなのだと。

上司というものは、精々「部下を指導する者」です。それでいいのです。「命令」と「指導」とはどう違うのかを考えれば分かります。「指導するだけですむ部下」は、「有能な部下」です。「命令しなければならない部下」は、「無能な部下」です。もっと有能な部下は、「指導」さえも必要とはしないでしょう。そんな有能な部下がいれば、「助かる、ああ楽だ」と思うのが普通でしょう。ところが、「上司というものは部下に命令する者だ」と思い込んでいると、その楽が楽になりません。「あいつに対して、オレはどう対処すればいいんだ?」なんてことを考える破目におちいるのです。それが、「上司としての優位性にこだわる」です



◆2、上司あしらい

あなたの目の前には、「思いつきでものを言うだけの上司」がいます。これには、どう対処したらいいでしょう?

簡単です。あきれればいいのです。「ええーっ!?」と言えばいいのです。途中でイントネーションをぐちゃぐちゃにして、語尾をすっとんきょうに上げてください。

まず、あきれましょう。相手は必ず言い返してきます。でも、あなたは何を言われても、ただ聞き流します。聞き流していいのです。だって、あなたをあきれさせた相手は、あなたに何の補償もしてくれないのです。つまり、「オレはつまらない思いつきを言ってしまった」と相手に認めさせるのです。相手がそれを認めるまで、相手の言うことに耳を傾ける必要はありません。…相手がうろたえようがムカッ腹を立てようが、あなたは終始一貫聞き流して、そして、相手が自分の思いつき発言を認めて反省してくれそうな様子がなかったら、ただそうですか」と言って引き下がるだけです。



◆3、部下の心得

企画書というのは、「ある程度なら知っていて分かるかもしれないけれど、実は何も知らない可能性さえある上司に、分からせるもの」なのです。だから、「上司の頭が悪い」とか「古い」というのは、言い訳になりません。あなたは、上司に分かるように書かなければならないのです。

この本で、上司が思いつきでものを言って糾弾されるのは、必ず、部下であるあなたが建設的な提言をした時です。その時だけです。あなたがボサーッとしていて、そこに上司の「思いつき」かもしれないような命令の声が矢継ぎ早に飛んできたって、それはそれで仕方のないことです。文句を言う筋合いはありません。



【感想】
◆上司という存在は、故郷である現場を離れ、「上司のピラミッド」の中に位置する別の生き物だと捉えています。

このたとえが的確で、部下との視点の相違、前提となる常識の違いがあることがわかりやすく示されます。

◆著者がどこまで本気で書いているのかはわかりませんが、部下としての立場では、「あきれてみせる」という戦略が有効だと皮肉の利いたアドバスも。実際、こんな風にちょっと冷めた人のほうが淡々と仕事をこなしている印象もあるので悪くはない作戦なのかも・・・。

とにかく、困った上司(オッサン)でも、「オッサンにも(部下である私には言えない)オッサンなりの立場があるのだ」と思うだけでも精神衛生上良いと思われます。










このエントリーをはてなブックマークに追加

『できる社員は「やり過ごす」』高橋伸夫

【概要】
経営学者が日本の会社組織を語ったもの。
原著は96年刊行で、02年に文庫化されています。

「尻ぬぐい」「泥かぶり」の多忙感に沈む係長ポストの存在意義に鋭く迫っています。

まえがきより
日本の大企業は、大偉業になったから、この本に書いてあるような現象が観察されるようになったのではなく、この本に書いてあるような現象が発生するようなシステムをもっていたからこそ、大企業に成長してこられたのである。



Manager for a Day / Federation of Transport Trade Unions in Bulgaria



◆1、デキる人の「やり過ごし」

とにかくこのようなオーバーロード状況では、上司の指示命令のすべてに応えることは不可能である。それでは部下はどうしているのか。

ここで登場するのが「やり過ごし」である。部下は上司の指示・命令を上手にやり過ごすことで、時間と労力を節約し、日常の業務をこなしている。つまり、やり過ごすことによって、少なくともルーチンの必要な業務は滞ることなくすすめられるわけだ。それができない部下は「いわれたことをやるだけで、自分の仕事を管理する能力がない」「上からの指示に優先順位を付けられない」というマイナス評価をされることになる。

B社では、つぎのような評価基準を明かしてくれた。

・A評価…やり過ごしもふくめて上司の指示・命令をみずからの判断で優先順位をつけて遂行し、必要に応じて指示されないことまで自主的におこなって、常に時機に応じた解決策を提示する部下。

・B評価…上司からいわれた順番に仕事に着手し、上司が指示した範囲で確実に仕事を遂行するが、上司の指示が多すぎたような場合には、時機をのがすこともある部下。

・C評価…やり過ごしもふくめてまちがった優先順位で勝手におこない、その結果やらなくてもいいことを先にやり、やるべきことをあとまわしにして時機をのがす部下。

・D評価…自分で優先順位をつける能力もなく、かといって、上司から指示されたことも遂行できない部下。

ようするに、部下のやりすごしをわざと誘発させているのである。そんなとき部下は、自分で仕事に優先順位をつけ、優先順位の低い仕事をやり過ごしながら、自分で仕事を管理することを期待されている。やり過ごしの発生する状況をわざとあたえ、部下に実際にやり過ごしをさせることで、個々の仕事に対する優先順位の付け方や、やり過ごしの判断の仕方をチェックして部下の力量を推し量っているのだ。いずれ管理者になれば、自分の責任で仕事に優先順位をつけ、自分の責任でやり過ごさなければならない。



◆2、係長という仕事

実際のところ、「係長の仕事」は、その量だけを考えても、ほとんど体力まかせの感がある。その質をとっても、まさに尻ぬぐい、泥かぶりのたぐいの仕事である。当の係長自身が、そのうち異動があるからという「見通し」にすがって、その日その日をしのいでいるような節がある。

管理職候補の大卒ホワイトカラーは、人数が増えようとも、とにかくOJTで育てて(ほかに方法がない)、賃金分は働いてもらえるようにしなければならない。しかし、全員が管理職になれるほどポストはないし、その能力もないだろうから、管理職になる段階で選別しなくてはならない。そう、係長クラスこそが、この選別をうける職位にあたるというわけだ。これが、係長クラスが尻拭い的仕事に忙殺される構造的な要因なのである。


◆3、会社という組織

勤続20年近い人が話し合っているのを横で聞いていても、20年もその会社にいて「この人のためなら…」という直属上司にひとりでもめぐりあっている人は、幸せというほかない。逆に言うと、そんなしあわせな人でさえ、残りの数人もしくは10人近い直属上司には、そんな感情を抱かなかったということである。

実際には、未来傾斜性の低い人が、見通しの非常に高い組織に所属してしまって、苦しんでいるケースもあるだろう。「『泥をかぶる』係長」のところでとりあげたような、直接作業員から管理業務に回されて、耐えられずに辞めていく人のケースなどは、おそらくそうした一例だと思われる。

このようになんの根拠もない、おそらく非合理的で無茶な戦略でも、しかるべき人がしかるべきときに宣言すれば、そしてある程度の長期にわたって変更撤回されなければ、戦略は人々の迷いを取り払い、元気付け、積極的に方向づける。まさに「見通し」が立つのだ。

 そのとき、戦略が最適であるかどうかはあまり重要な問題ではないし、多くの場合、戦略の最適性と勝敗は別の問題なのである。戦略は持っていること自体に、経営的観点からはある種の意義が存在する。…つまり、戦略を持っているということは、行き当たりばったりではないということなのである。戦略が優先順位のシステムとして機能するおかげで、メンバーの「見通し」も立ち、組織内行動の混乱を排除できる。




【感想】

◆前半では、いい古された「勤勉なバカほどハタ迷惑なものはない」「無能な働き者は殺してしまえ」のことわざのとおり、組織メカニズムに即したデキる人物像が示されています。

「B社の評価基準」が実に的確。

一般に言われる「自主性」「指示まち」などのモヤモヤした用語の中身が、具体的な行動として整理されています。


◆また、完璧主義者・マジメな奴ほどメンタル疾患になりやすい、根性論で仕事をこなして来た人がマネジャーになった途端に部下を使い潰すようになる、といった経験則の裏付けにもなりそうです。

未来傾斜性の低いタイプの人は、管理業務にアップアップで…というもの。本人も回りも不幸になっている風景が想い起こされます。

◆後半の会社論・組織論部分での「戦略は存在することに意味がある」というのは意外感がありながらも納得できる指摘です。

本書では会社の例に即して、戦略が組織の優先順位ルールとなり混乱を回避させる、と説明されていますが、自己啓発系ビジネス書で指摘されるところの「目標を書き出せ」理論もこれと同じ構造かと。

迷うプロセスを最小化できるという点が大きなメリットになるようです。

会社勤めに疲れた人、割り切れないモヤモヤを抱えている方にオススメです。




キンドル版もあります。



このエントリーをはてなブックマークに追加

『なぜ、それを好きになるのか? 脳をその気にさせる錯覚の心理学』竹内龍人

【概要】
京大出身で日本女子大の心理学教授を務める著者による心理学・脳科学ガイド。

最新の研究成果を援用して「なんとなく好きになる」仕組みに迫ります。


まえがきから
本書では、実験心理学という学問の導きを得て、この「少し愛する」「なんとなく好きになる」秘密に迫ります。しかし、それはやさしい作業ではありません。なぜなら、好きになることは、そのほとんどが私たちの意識が及ばばい領域、つまり無意識のプロセス起こってしまうからです。



Osprey - Shrimp Party at Waterfront Home / roger4336



【ポイント】

◆1、脳の処理の仕組み
人間は、自分の脳が処理しやすいものを好む。

繰り返し見ていれば、それだけでなんとなく好きになる。

私たちは平均顔のみならず、平均時計や平均イヌ、平均トリにまで魅力を感じるようなのです。…私たちは「平均○○」をもれなく好むと考えるほうが妥当です。平均的なものは脳が処理しやすいから―という「処理の流暢性誤帰属」仮説がここで成り立つのです。



◆2、作り笑顔も本物に

ですから、目に注目しているとニセの笑顔は見破ることができます。しかし、特に口を大きく開けて笑う人、つまり大きな笑顔を見せる人の顔を見ると、どうしても、そのよく動いている口のほうに注意がいってしまいます。そうなると、作り笑顔を見極めることは困難です。

著者が米国の大学院入学のためのコミュ力テスト突破のために編み出した方法
1、作り笑顔を見破るのは困難なので、ふつうの笑顔だと捉えられた。
2、作り笑顔をしていると、自分の気分がポジティブになり、それは本物の笑顔になる。
3、自分の笑顔とポジティブマインドは相手に伝染し、相手は自分を好ましく思うようになる。



◆3、心理学的に正しい夫婦問題へのアプローチ

夫婦が抱えている7割近くの問題は解決が不可能であり、それはコミュニケーションを増やしても改善へは向かわない、というのがゴッドマンの分析です。解決が不可能な場合は妥協しなければなりません。妥協する場合は、友情に基づいて、相手のことを考えつつ落としどころを探って行くしかない、というのです。

なんとなく好きにさせるポイント
1.「欲しい」と「好き」とは脳内では別のこと。
2.「欲しい」から「好き」へ移行させれば関係が長続きする。
3.夫婦関係改善には、コミュニケーションを増やしてもダメ。友情に基づく「なんとなく好き」と思う気持ちが重要。



【感想】
新書ということもあり、ややこしいことは省いて理路整然と語られています。

3でとりあげた夫婦問題とコミュニケーションの話なんかは実用性も高そう。ただただ「コミュニケーションを増やせ」なんてのは結局のところ根性論で消耗するばかりなのだと思います。

最近の研究成果ということでは、「人間は、自分の脳が処理しやすいものを好む」という点が推されています。この原則があるから「単純接触効果」も成り立つし、勉強の習慣化、平均顔への好みも説明されるとのことです。

強引な感じもしますが、普段の生活で使う分には充分な内容です。



このエントリーをはてなブックマークに追加

『教養としてのプログラミング講座』清水亮

【概要】

6歳でコンピュータに目覚め、立ち上げ期のドワンゴ社でゲーム開発者として活躍した著者がプログラミングを平易に語ったもの。

前半ではプログラミング的なものの見方、後半では自ら開発した「6歳の子供でも扱える」簡易プログラミング言語ムーンブロックの解説となっています。


◆Amazonより
もの言わぬ機械とコミュニケーションする手段「プログラミング」。
コンピュータが隆盛を極めた今、もはやそれは身につけるべき教養だ。
この本は、一冊で優れたプログラマーの思考を習得することを目指す。
ジョブズやゲイツ、現代の成功者はどんな世界を見ているのか?




Programmer's Code / MLibrary




◆1 あれもプログラミング

著者の世界観が光ります。

プログラミングとは、一言でいえば「自分以外のものを、思い通りに動かす方法」のこと。適切にプログラミングしたものは、たとえば作者が消滅したとしても、作者の意図を反映し、プログラミングしたとおりに動くことになります。これが企画であれば、企画者の意図通りにユーザーの気持ちを動かそうとするのも「プログラミング」であり、組織であれば、組織全体をリーダーの意図通りに動かそうとするのも「プログラミング」であるといえます。


かつてこういう技能は「経営能力」だとか「仕組みを作る力」だとか、色々な名前をつけて呼ばれていました。しかし、私にとって明確にこれはプログラミング能力、つまり、自分のいないところで、「自分以外のものを思い通りに動かす方法」として身に付いているものなのです。



◆2 コミュニケーションの原型

プログラミングの視点から、コミュニケーションを問い直します。

そして、プログラミングした対象が期待通りの動きをしなければ、それは全て命令を下したプログラマーの責任。あなたがもしプロのプログラマーだったなら、誰かにお使いを頼み、意図したものと違ったものを買ってこられても、そこは黙って「指示を漏らした自分にこそ責任がある」と、自戒しなければなりませんよ。


プログラマーの間で流通している格言に「プログラムは思ったとおりに動かない」というものがあります。ただしこの格言はこれだけで終わらず、後ろにはこう続きます。「書いた通りに動くのだ」




【感想】

趣味がプログラミング、なんて聞くといかにもオタクでコミュ障で、みたいな印象ですが、著者の世界観を通じてみればそんなことはなさそうです。

あれもこれもプログラミングで、むしろ世渡りに必須の能力であるようにさえ思えてきます。

全ては伝える側の責任という指摘。

「察すること」を拒むコンピュータプログラミングは、コミュニケーションの原点を示しているようにも思えます。





このエントリーをはてなブックマークに追加

『1年で10億つくる!不動産投資の破壊的成功法』 金森重樹

【概要】
東大卒→借金大王→不動産で資産形成という異色のキャリアを辿った著者が不動産投資の考え方を述べたものです。
05年刊行。

理念的なものにとどまらず、自らの体験談やキャッシュフローの数字を使って具体的に投資の方法を語っています。

アマゾンから
インターネットマーケティングで1億稼ぎ、読者10万人のメルマガ「回天の力学」で著名な金森氏が、その鬼才を現物不動産投資に発揮。「利回りに目を奪われるな」「住宅ローンこそハイリスク」など、常識の逆を行く思想と手法で、専門的すぎる不動産投資本や個人的体験のみに依拠した「サラリーマン大家さん」本とは一線を画す快著に!



Apartments in Lima, Peru / Imperial94


【ポイント】
◆1 貧者の投資術

資産三分法などの分散投資は、すでにお金を持っている人がお金を「減らさないため」に行うもので、これから資産を築こうという人がとるべき戦略ではないとの指摘です。

「持てる者」は、資産を増やすというよりも減らさないことを重視して資産運用をしますので、安定性を求めます。

「持たざる者」が「持てる者」と同じ戦略をとっていては、その資産格差は拡大する一方です。なぜなら、「持てる者」には、より良質な投資機会が提供されるのが世の常だからです。世の中の儲かる情報は、すべからく持てる者に集中するようにできています。

勝機に果敢に賭けて、「一点突破全面展開」することこそが資産を急拡大する肝なんじゃないかと僕は思っております。



◆2 不動産投資の哲学

著者は区分所有を「丁半博打」とバッサリ切り捨てます。その背景には著者独自の投資哲学が。「不動産投資と住宅ローンを履き違えている」姿に鋭い目を向けます。

区分所有は、満室になれば入居率100%で、空室になれば入居率0%というものですよね。ですから、いったん空室になれば、元利金の返済、その他の費用は、自分の働いた給料から持ち出しになります。空室でも管理費は取られます。中間の入居率50%などはあり得ないわけですから、0か100かの丁半博打です。


自分の収入を当てにしなければならない投資など投資でもなんでもないです。最悪でも自分が働けばなどと考える方は、根本的に不動産投資と住宅ローンを履き違えていると言わざるを得ません。

不動産投資をやると覚悟を決めたからには、最初から自分の収入など一切当てにしないことです。自分の収入からの穴埋めなど考えていると最初の1棟はなんとかなったとしても、これが5棟、10棟と増えてくると、自分の収入ではとうてい追いつかない水準まできます。

 


◆3 物件選び

自分の住んでいるところに縛られず、投資案件として冷静な判断をするよう指南します。

あなたが住んでいるエリアと、投資に適しているエリアの間には何の関連性もありません。自分の住んでいるエリアで本書の内容を実行しようとするのではなく、最適な投資エリア(後ほどご説明する将来推計人口によって人口が増加するエリア)を中心とした投資を心がけることが慣用です。

もう一度いいます。

間違っても、自分が住んでいるエリアを中心として不動産投資を考えないことです。自分が住んでいるエリアは、将来的に大幅に人口が減少するエリア、空室率が増加するエリアかもしれないのです。投資に最適なエリアでの投資をする必要があります。



【感想】
菅谷義博『仕事は1日30分!お金と時間を増やすドラクエ流成功法』(過去記事)で紹介されてた不動産実践本のひとつです。

類書に比べて具体的で、著者の考えもあって区分所有の否定、自家用住宅ローンとの違いの強調が際立ちます。

一方で、物件選びに際してはまず大前提としてその都市の推計人口を見ることも語っており、実体験に裏打ちされた手堅い手法とも見えます。

熱いハートと冷静な投資マインドが同居してる印象です。

箴言じみた発言も。
チャンスがなかったなんて言うなよ、度胸がなかったんだろお前?

チャンスはリスクの仮面を被ってやってきます。チャンスの仮面を被ってやってくるのは詐欺です。






こちらは著者の半生記になっています。
東大卒ながら詐欺にカモられて借金地獄へ。その後、カモられた原因はマネーリテラシーのなさにある!と気づいた著者は一念発起し…
このエントリーをはてなブックマークに追加

『ジョゼフ・フーシェ ある政治的人間の肖像』シュテファン・ツワイク

オーストリアの伝記作家による評伝です。

ナポレオン時代の名外交官タレーランと双璧をなすフーシェ。なんとなく陰気な感じもありますが、本書では世界史上最高のマキャべリストのひとりと評価されています。


Baron Otranto / Stifts- och landsbiblioteket i Skara


◆概要

Amazonより
「サン=クルーの風見」。フーシェにつけられた仇名である。フランス革命期にはもっとも徹底した教会破壊者にして急進的共産主義者。王制復古に際してはキリスト教を信ずることのきわめて篤い反動的な警務大臣。フーシェは、その辣腕をふるって、裏切り、変節を重ね、陰謀をめぐらし、この大変動期をたくみに泳ぎきる。



◆1 人物像

フーシェの陰気な印象が描写されています。
誰でも彼に会ったものは、この男には熱い赤い血がめぐってはいないのだ、という印象を受けた。そして実際、彼は精神的にも冷血動物の種属なのだ。我を忘れるようなはげしい情熱も知らないし、女にも賭博にも気を向けたことはなく、酒もたしなまないし、贅沢は嫌い、筋肉を動かしたこともなく、ただただ部屋のなかにくすぶって、記録や書類に埋もれて暮らしているだけである。怒りを表にあらわさず、顔の筋一つ動かさない。時にはうやうやしく、」時にはさげすみながらちょっと微笑する時だけは、この薄い、血の気のない唇がかすかに動く。見たところしまりのない、鉛色のこの仮面の下に、真実の緊張が隠れていることは、だれも気がつかない。ふちの赤い重いまぶたの下の眼をうかがっても、彼の意図がどのへんにあるかはまったく見当もつかず、その動作を見ても彼の考えはわからないのだ。


◆2 フーシェの仕事術

事態をコントロールする手法が語られます。
仕組みの作り方、面従腹背の技法。

フーシェはそもそものはじめから万一の失脚の場合を考えていた。免職になったら、自分が組み立てた機械を即刻動かなくするには、ちょっと手で触れれば事足りることを、彼は知っている。なぜなら、この権勢欲の権化がこんな機械を作ったのも、国家のためでも総裁政府のためでもナポレオンのためでもなく、まったく自分ひとりのためだったからである。

フーシェはナポレオンの人となりをじゅうぶん知っているから、いろいろな意地張った意見を言われても、自分の意見を押し付けようとは夢にも思わぬ。帝政時代の従順な大臣連や、その他すべての阿諛者と同じに、唯々諾々と命令は受けてはいたが、ただちょっとばかり違った点があったというのは、彼はかならずしもこれらの命令に従わなかったことである。

フーシェは皇帝に対しても、またその他のなんぴとに対しても、いついかなる時も、自分の真の意図や仕事を打ち明けたことはない。厖大な報告材料から、選りに選って自分の気に入るものだけしか、彼は人手に渡さないのである。


◆3 かけあい

ナポレオンとの掛け合い。伝記的脚色っぽいですが、つまりナポレンがこのように描かれるほどにフーシェ、タレーランの権勢があったということが伺えます。
こうなっては皇帝はもう我慢できなくなった。「フーシェ、君は裏切り者だ」とどなりつけた。「君の首をしめあげて殺してしまうところなのだが。」
するといささかも動ずる気色もなく、冷血無類の大臣は冷然と答えたのである。「恐れながら私は陛下のお考えとは所見を異にしているのでございます。」

こちらはタレーランのエピソード。
こういう下劣な罵詈雑言を侮辱と感ずるには、あまりにも気位が高かったのだ。大荒れに荒れたあらしがやむと、彼は黙ったまま滑らかな板敷きの上をびっこを引きながら退出し、それから控えの間で、鉄拳をむやみやたらに振り回すよりも、もっと致命的な傷を与える例の寸鉄殺人式な言葉をひとことだけ吐いたのであった。「ああいう偉大な人が、育ちが悪かったのはまことに残念なことだ」と、従者に外套をかけさせながら平然として言ったのであった。



◆感想
なんとも濃厚な一冊ですが、冗長に感じる部分はごく一部で、時の権力者を手玉に取る様子、自分に都合のいい=バカ正直でない勤めぶりは大いに参考になりました。「受けた命令に必ずしも従わない」「ボスに上げる情報を自分にとって都合がいいよう選別する」など、正統派ビジネス書とは一味違うものがあります。


このエントリーをはてなブックマークに追加

『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』ひろゆき(西村博之)

少し古い2007年当時の本ですが、管理人ひろゆき独自の合理的な世界観が全編ににじんでおります。


2ch MONA. / MIKI Yoshihito (´・ω・)


◆概要
著者独自の突き詰めたものの見方が素晴らしく、常識以前のレベルで突っ込みを入れています。

このほか、後半はIT関係者との対談が掲載されており、中でも小飼弾との対話が圧巻です。


◆1 市場と仕組み(アーキテクチャ)
スタンフォード大 ローレンス・レッシグの発言
「世の中で人間が行動を決める要因は、道徳と法律と市場とアーキテクチャの4つである」
タバコを止めさせるための方法でたとえるなら、
道徳→タバコを吸うのはやめましょう
法律→禁煙法などを作りタバコを吸った人を処罰する
市場→タバコの価格を1本2000円と高騰させ買う人を減らす
アーキテクチャ→2本吸うと気持ち悪くなる薬をタバコに注入してしまう


◆2 メタ的なもの
ソフトウェアの考え方は、ハードウェアの考え方に縛られている。それは人間に関しても同じで、手が2本、指が5本というハードウェアの制約に我々の考えは縛られている。手が2本で足りないからもう2本追加しようとはならない。なまじ汎用のハードウェアを持ち、慣れてしまうと、問題点はソフトウェアで解決するとしか考えなくなる。ハードウェアの仕様を変えて解決しようとは思わない。


◆こんな対談がなされています。

小飼
僕は、今後世の中で一番大事な仕事は、暇つぶしをさせることだと考えているんですよ。もし、将来暇つぶしをメインの産業にできなかったら、代わりに何が来ると思いますか?

西村
うーん…。自殺産業ですかね?

小飼
そこまで、穏やかじゃないかな。

西村
自殺が穏やかじゃないというと…。

小飼
戦争ですよ。もし、人類の平和を願うのであれば、どうやって人の欲を捨てさせるかということになる。これは絶対に外さないと僕は思う。





キンドル版



このエントリーをはてなブックマークに追加

『パワーマインド 自分を高め交渉に勝つ悪魔の心理術』 内藤誼人


◆概要
実用的な心理テクニックでおなじみの内藤先生がビジネスにおける心理学の活用を語ったものです。
実践的なテクニックが網羅的に紹介されているので、使えそうなものを取り入れるとよさげです。


Fortune Global Forum 2013 / Fortune Live Media


◆1 本書の立ち位置
まえがきから内藤節が全開です。遠慮なく実利主義を前面に押し出してくれるので、好きな人にはたまらない仕上がりに。
あなたが実際にしごとができるかどうかは別として、「できるような」演出をしていれば、周囲の人は、あなたのことを仕事ができるヤツだと思ってくれる。…「どんな人でもその演出法さえ間違えなければ、十分に権威的、魅力的なイメージを与えることができるんだ」というテーマを筆者はずっと考え続けており、それをまとめたものが、本書『パワーマインド』である。


◆2 ライフハック的な部分も
あてはまるシーンですぐに使えそうなものを抜粋してみました。暗示の活用が著者らしいところ。
「入浴中」をイメージして、エネルギーを高める
・身体が温まると、それにつられて心も温まってくる
・精神エネルギーを手っ取り早く高めるのは体温を上昇させること
・入浴場面を想像すると暗示と催眠効果によって身体がポカポカして体温が2,3度上昇する

頭をスッキリさせるテクニック
1、バニラアイスを食べる
2、ジャスミンティーを飲む
3、早歩きして体温を上げる(身体の活動性を高める)

電話は「立ったまま」で話す
・自分では知らないうちに声に張りが出て、相手に力強さをアピールできる



◆感想
網羅的にあれこれ紹介されていて、とにかく全部やろうと思うと大変そう。
理由の説明が薄い部分もあるので、「なぜこれが効くのか」が気になってきたら関連書を読んでいくとよさげです。


このエントリーをはてなブックマークに追加

『キリンヤガ』マイク・レズニック

ケニアの伝統を守る理想世界「キリンヤガ」を舞台にした連作SF。

西洋文明に適応した故郷を嫌った老人コリバは妻や息子と別れ、ありうべき理想のケニアを再現した惑星キリンヤガへと移り住む。


Kenya Amboseli / eGuide Travel


◆概要
部族のムンドゥムグ(長老、祈祷師)となり伝統的な価値観を守ろうとするコリバだが、惑星の環境制御を行う保全局との対立や知識に目覚めた子どもとの交流からさまざまな葛藤を抱える。

キリンヤガの存在価値そのものである、伝統的な価値観を守りつつムンドゥムグとしてさまざまな問題を解決するコリバであったが…

◆問題解決の方針を定める、コリバのゆるがない価値観

彼らに選択の余地はない。ーそして、われわれにも選択の余地はない。どう生きるべきかについていちどでも彼らの命令に従ったら、いずれ、なにもかも命令されるようになってしまうだろう。ここで譲歩したら、ンジョグとカミリは結婚の式で聖書かコーランに頭をさげることになる。ケニアで現実に起きたことだ。キリンヤガでそんなことを許すわけにはいかない。

今日彼らの薬を受け入れたら、明日は彼らの衣服や機械や神を受け入れることになる。歴史からほかに学ぶことがないとしても。これだけはたしかなのだ。

キクユ族がケニアに住んでいたとき、やってきたヨーロッパ人は、われわれにまずひとつの伝統を捨てさせた。それがきわめて簡単なことを知ったわれわれは、もうひとつ、さらにもうひとつと伝統を捨てていき、しまいにはあんまりたくさん伝統を捨てすぎて、もはやキクユ族ではない、ただの黒いヨーロッパ人になってしまった。

変化がないということにも価値があるのだ。

あのときは気づかなかったことだが、ある社会がユートピアでいられるのはほんの一種なのだ。いったん完璧な状態になったあとは、どんな変化があってもそれはユートピアではなくなってしまうのだが、社会というものはそもそも成長して進歩するものなのだ。キリンヤガがいつユートピアになったのかはわからない。―その瞬間は、わたしが気づかないうちにとおりすぎてしまった。





このエントリーをはてなブックマークに追加

千葉智之『出逢いの大学』

普通のサラリーマンを対象に等身大の人脈作りを語ったもの。

出身地の大学卒後に地元就職をした著者は思いがけぬ転勤で知り合い一人いない東京へ。その後わずか3年で3000人のコミュニティを作り上げたそうです。


Renaissance Home Health Party 2010 100 / CgeGo1



◆1 なぜ人脈が必要なのか

人に安心をもたらすものは資格よりも人間関係だ、ということで、そのための下地作りについてあれこれ語られます。

サラリーマンが将来の不安を完全に払拭するためには、2つの能力が必要不可欠。それは専門分野での仕事をする能力である「ワークスキル」と、人とのよりよい関係を作っていく能力、「コミュニケーションスキル」。そして、コミュニケーションの集大成が、よりよい人脈。


とにかく、人に会う機会を作れ!
普通に暮らしていたのでは「初対面」の機会は少ない。これには、れっきとした理由があります。それは、「人間関係は閉じていたほうが気持ちいい」ということです。…でも、これに安住しているだけではいつまでたっても人脈は広がりません。…とにかく人と会わなければなにもはじまらないのです。



◆2 よりよいよい人脈のために

人脈についてもビジネスの基本が適用できます。仕組み化。
逆ミラーの法則
イケてない人を映そうと思えば、イケてない人とつきあえばいい。イケてる人を映そうと思えば、ちょっと無理してでもイケてる人と交流すればいい。「私の持ってない能力や価値観をもった人たちに囲まれて幸せだ。将来について考えるいいお手本になるな」という気持ちになるような状態をめざしましょう。


人と出逢うしくみを作れ!
・定期的に
・かならず
・否が応でも
人と出会うようにする



◆3 その他
その他、著者の普段の心がけが紹介されています。こちらはすぐにマネできて応用範囲も広いように感じます。
気分をプラスにもってくテクニック
実は人間っていうのは、最初は何か嫌なことがあって嫌な気分になりますが、途中からその原因は忘れてしまって、嫌な気分だけが残ってしまう生き物なんです。で、嫌な気分だからよけい嫌な気分になってしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
(直し方)
1、なぜ嫌な気分なっているのか考える
2、最大限にひどい例と比べる


初めてのお誘いは100倍の価値がある
そこを勇気を出して誘っているワケなので、「ありがとう!行きます!」って速攻で返事をしてもらったりしちゃうと、誘ったほうとしてはものすごく嬉しいのです。
…なので、とくに「初めてのお誘い」は仕事をなげうってでも行くべきです。



◆感想
内向的な人だと人に会うたび、また飲み会のたびに消耗していくこともあると思いますが、量稽古や仕組み化である程度まではレベルを上げられそうです。


このエントリーをはてなブックマークに追加

中村仁一『大往生したけりゃ医療とかかわるな』

老人ホーム付きの医師として12年の勤務経験を持つ著者が死生観を語ったもの。
医者業界では国立病院>民間大手>民間中小>開業医>福祉系という序列があるそうで、このうち福祉系の医師でかつ高齢の自分にはもう失うものはないと宣言し、偽悪的な語り口で信念を伝えます。


Check-up / Army Medicine


◆目次から
豊富な臨床経験から、「熱や咳は”結果”であり”原因”ではない(ゆえに解熱剤を飲んで力ずくでねじ伏せても何の解決にもならない)」などの見解を語ります。
・解熱剤で熱を下げると、治りは遅れる
・鼻汁や咳を薬で抑えるのは誤り
・食べないから死ぬのではない、死に時が来たから食べないのだ
・死ぬのはがんに限る
・がんで死ぬんじゃないよ、がんの治療で死ぬんだよ
・生き物は繁殖を終えれば死ぬ



◆1 医師として
著者の思想の根っこが語られます。
○私の好きな学説に、「治療の根本は、自然治癒力を助長し、強化することにある」という「治療の四原則」があります。
1、自然治癒の過程を妨げぬこと
2、自然治癒を妨げているものを除くこと
3、自然治癒力が衰えている時は、それを賦活すること
4、自然治癒力が過剰である時には、それを適度に弱めること


◆2 老人と医療
老人ホーム付き医師として多くの事例を見てきた著者、やがてこのような考えに至ります。
○本来、年寄りは、どこか具合の悪いのが正常なのです。不具合のほとんどは老化がらみですから、医者にかかって薬を飲んだところで、すっかりよくなるわけはありません。昔の年寄りのように、年をとればこんなものと諦めることが必要なのです。


○あまり医療に依存しすぎず、老いには寄り添い、病には連れ添う、これが年寄りの楽に生きる王道だと思います。
年寄りの最後の大事な役割は、できるだけ自然に「死んでみせる」ことです。


○繁殖を終えるまで生かしてもらったのですから、もう充分ではないですか。人生の幕引きを思い通りにでかるかもしれない「がん死」は最高だと思います。


◆3 死を考える
医師としての仕事を通じて死生観を練り上げた著者は、自らの死にこのように向き合います。
○私の事前指示
「医療死」より「自然死」が好みのため、意識不明や正常な判断力が失われた場合、左記を希望する。
・できる限り救急車は呼ばないこと
・脳の実質に損傷ありと予想される場合、開頭手術は辞退すること
・原因のいかんを問わず、一度心臓が停止すれば蘇生術は施さないこと
・人工透析はしないこと
・経口摂取が不能になれば寿命が尽きたと考え、経管栄養、中心静脈栄養、抹消静脈輸液は行わないこと
・不幸にも人工呼吸器が装着された場合、改善の見込みがなければその時点で取り外して差し支えないこと



◆感想
結婚を期に保険を見直したときに、「昔はみんな死んでたんだから無理に抵抗しない」、「費用対効果の見えないがんの新治療はやらない、保険もかけない」と考えたのを思い出しました。
老人ばかりでなく、自らの生について考え直すきっかけになるかと思います。




キンドル版

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。