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『キリンヤガ』マイク・レズニック

ケニアの伝統を守る理想世界「キリンヤガ」を舞台にした連作SF。

西洋文明に適応した故郷を嫌った老人コリバは妻や息子と別れ、ありうべき理想のケニアを再現した惑星キリンヤガへと移り住む。


Kenya Amboseli / eGuide Travel


◆概要
部族のムンドゥムグ(長老、祈祷師)となり伝統的な価値観を守ろうとするコリバだが、惑星の環境制御を行う保全局との対立や知識に目覚めた子どもとの交流からさまざまな葛藤を抱える。

キリンヤガの存在価値そのものである、伝統的な価値観を守りつつムンドゥムグとしてさまざまな問題を解決するコリバであったが…

◆問題解決の方針を定める、コリバのゆるがない価値観

彼らに選択の余地はない。ーそして、われわれにも選択の余地はない。どう生きるべきかについていちどでも彼らの命令に従ったら、いずれ、なにもかも命令されるようになってしまうだろう。ここで譲歩したら、ンジョグとカミリは結婚の式で聖書かコーランに頭をさげることになる。ケニアで現実に起きたことだ。キリンヤガでそんなことを許すわけにはいかない。

今日彼らの薬を受け入れたら、明日は彼らの衣服や機械や神を受け入れることになる。歴史からほかに学ぶことがないとしても。これだけはたしかなのだ。

キクユ族がケニアに住んでいたとき、やってきたヨーロッパ人は、われわれにまずひとつの伝統を捨てさせた。それがきわめて簡単なことを知ったわれわれは、もうひとつ、さらにもうひとつと伝統を捨てていき、しまいにはあんまりたくさん伝統を捨てすぎて、もはやキクユ族ではない、ただの黒いヨーロッパ人になってしまった。

変化がないということにも価値があるのだ。

あのときは気づかなかったことだが、ある社会がユートピアでいられるのはほんの一種なのだ。いったん完璧な状態になったあとは、どんな変化があってもそれはユートピアではなくなってしまうのだが、社会というものはそもそも成長して進歩するものなのだ。キリンヤガがいつユートピアになったのかはわからない。―その瞬間は、わたしが気づかないうちにとおりすぎてしまった。





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